講談社が「大江健三郎賞」創設 選考は大江氏1人 | 三太・ケンチク・日記

講談社が「大江健三郎賞」創設 選考は大江氏1人

(画像は毎日新聞)

講談社は4日、「大江健三郎賞」の創設を発表した。ノーベル賞作家大江健三郎氏(70)が1人で選考にあたり、可能性、成果を最も認めた「文学の言葉」を持つ作品を受賞作とする。賞金はなく、英語への翻訳と、世界での刊行を賞とする。第1回は06年1月から12月までの1年間に刊行された作品を対象とし、07年5月受賞作を発表する。選評の代わりに、大江氏と受賞作家の公開対談を行い、「群像」誌に掲載する。大江氏は、「世界に向かって日本のいい文学の言葉を押し出したい。日本の国内で純文学は話題にされなくなっているが、社会の中心にいる人に、もういちど小説を本気で読んでみませんか、と伝えたい」と話した。
朝日新聞:2005年10月05日


大江健三郎を、「奇妙な仕事」「飼育」「死者の奢り」や「芽むしり仔撃ち」等々、僕が10代の頃から長年見続けてきたものとしては、嬉しい限りです。そう言えば、江藤淳大江健三郎の責任編集、「われらの文学」全21巻の全集を出したのも講談社でした。
さっそく、朝日新聞夕刊の「素粒子」では、「ノーベル賞は受けたが文化勲章は断った作家が一人で選考という文学賞創設。ただし賞金はゼロ。」と揶揄?していますが。



たまたま最近読み終えた小澤征爾大江健三郎の対談本、「同じ年に生まれて・音楽、文学が僕らをつくった」を、この機会に紹介しておきましょう。活躍する世界は異なりますが、1935年の同年に生まれた彼らは、中学3年のときに現在の仕事を目指し、若手芸術家として時代の先端を走り続け、粘り強く仕事を重ね、世界的にもっとも評価される日本人として自らの人生を築き上げてきた、という点で共通しています。この本は40年来の友人である彼らが、青春時代家族教育民主主義音楽と文学、共通の友人武満徹、そして未来について、縦横に語り合った対談集です。


「同じ年に生まれて・音楽、文学が僕らをつくった」
著者:小澤征爾*大江健三郎
発行所:中央公論新社
2001年9月10日初版発行
定価:1400円+税